
- ―― ガシャポンのカプセルは、どのようにリサイクルされているのでしょうか。
- 工藤 2009年頃から、一部の販売店にカプセルの収集ボックスを設置させていただき、
試験的にカプセルの収集を始めました。回収量は年々増えていまして、2009年の4トン弱からスタートし、
今では約15トン弱まで回収することができています。
回収されたカプセルは1カ所に集めて分別された後、リサイクル工場でバラバラに砕かれてリサイクルされます。 例えば、アイスクリームについてくるプラスチックのスプーンやボールペンの外装部、CDやDVDのケースなどに使われているんですよ。

- 実際にカプセルがリサイクルされて生まれた製品。
- ―― ガシャポンのカプセルは、身近なものにリサイクルされて、私たちの手元に帰ってきていたんですね。
- 工藤 ガシャポンのリサイクルには、ここ数年で大きな変化がおきています。 これまで2種類のプラスチックで作られていたカプセルだったのが、1種類のプラスチックのみでできたカプセルが新たに開発されて、 2013年頃から流通しているんです。今はまだ2種類のカプセルが混在する状態ですが、後々は分別する手間が大きく省けるようになります。

- 右が従来のカプセル、左が新型カプセルだ。右は、透明部分がPS(ポリスチレン)、
色のついた部分がPP(ポリプロピレン)の2種類のプラスチックでできているが、
左の新カプセルは、PP(ポリプロピレン)1種類でできている。
- ―― 新型カプセルには、そんな狙いがあったのですね。初めて知りました。
- 工藤 カプセル自体の重量も、従来のものに比べて6割ほどになり、材料も削減できて軽くてエコなカプセルになっています。 本当に良いことづくめで、配送コストなどの面でも大きなコストダウンに繋がっています。
- ―― 8月に開催される「ガシャポンフェスタ2015」では、昨年も実施して好評だった、 ガシャポンカプセルを用いた『eco工作ワークショップ』が行われるそうですね。
- 工藤 はい。ガシャポンのカプセルと、墨田区の町工場から出た廃材のウレタンを使ってハンコを作るワークショップです。 お子さんたちに楽しみながらecoを身近に感じていただくプログラムで、3年ほど前から様々なイベントで実施しています。 とても人気が高く、昨年は約3,300名のお子さんと保護者の方に体験していただきました。
- ―― どんな狙いで実施されているのでしょうか。
- 工藤 このワークショップは、「バンダイおもちゃのeco学校」と呼んでおりまして、
我々のチームが運営しているホームページ「バンダイ エコ・くらぶ」で開校スケジュールを公開しています。
弊社の環境への取り組みについて広く知っていただくための広報活動、
いわゆるCSR(「corporate social responsibility(企業の社会的責任)」の略)活動の一環でもあります。
- ―― 小学校への出前授業もされているそうですね。
- 工藤 昨年から始めた試みで、昨年は10校で授業を行いました。 今年はさらに増やして実施できればと思っています。 小学校での授業は、基本的にリサイクル活動等について勉強する3、4年生が対象です。 実際におもちゃが作られる仕組みを、企画・設計・生産の流れから順番に説明して、 その中でのリサイクルへの取り組みについて話すと、小学生の皆さんにも分かり易く、すごく興味をもって聞いてくれるんです。


- ―― この学習帳、おもちゃつくりの仕組みも分かって、とても楽しい内容になっていますね。
- 工藤 有り難うございます。「バンダイ エコ・くらぶ」からダウンロードすることもできますし、 「ガシャポンフェスタ2015」のワークショップでも配布も予定しています。

- 「バンダイおもちゃのeco学校」のオリジナル学習帳とカプセルはんこ工作キット
マスコットキャラクターは、くちぱっち。
- ―― この記事を読んで「私たちの学校でも授業をしてほしい」と希望される方もいるのではないかと思います。
- 工藤 そうなったらとても嬉しいですね。 「バンダイ エコ・くらぶ」の中に出前授業のページがありまして、そこでオファーの窓口となるNPO法人さんの問い合わせ先をご案内しています。 我々はそのNPO法人さんの協力を得て、保護者の皆様にインストラクターとして授業をしていただけるような活動もしています。
- ―― なるほど。ますます活動が広まると良いですね!
- 工藤 eco活動への取り組みはとても大切ですし、勉強したいと思う方も年々増えてきていると思います。
「身近に楽しく取り組めるeco活動が沢山ある」と、ワークショップの工作などを通して気づいてもらえるきっかけになればと思っています。
私自身も関係するスタッフと協力しながら、eco活動を推進していく仕事に大きなやりがいを感じています。

- ―― 最後に、「ガシャポンフェスタ2015」で行うワークショップについて改めて聞かせてください。
- 工藤 会期中の土日、4日間限定でワークショップを実施します。
参加者には工作キットを配布して、それぞれオリジナルのカプセルはんこを作っていただくことが出来ます。
さらに、今年は新しい工作も考えていまして、それは「ガシャポンカン」を使ったものなんです。 カプセルはんこを作るときに余ったウレタンシ―ルを使って、ころころスタンプを作ってみたいと思っています。 会場で販売されたガシャポンカンの空きカプセルをそのまま利用したいと思っています。


- ―― その場で、リサイクルしてしまうわけですね。
- 工藤 そうなんです。ウレタンシールを含めて、その場でリサイクルにチャレンジしてしまおうと思っています。 エコは難しくなく、身近にあるものだと実感していただけますし、お子さんの夏休みの自由研究の題材にもピッタリだと思います。 「ガシャポンフェスタ2015」で、ぜひエコ工作をやりましょう!

- ガシャポンカプセルを使った工作は、はんこ以外にも様々。
ここで紹介した図は、工作キットの説明書の中にも掲載されている。

