- ―― 「アニコラ」の「コラ」とは、何の略なのでしょうか。
- 前田 「コラージュ」と「コラボレーション」の意味をこめています。
- 森 徐々にアイテムが増えていくなかで、何か冠をつけようということで決まったシリーズ名です。
- ―― 「アニコラ」シリーズで最初に生まれた「いぬぱん」の第1弾は、2013年に発売されました。当時開発チームに所属していた森さんが企画されたそうですね。
- 森 何かオリジナルのキャラクターを作ろうと色々と考えていた時期で、単体ではなく、何かと何かをかけあわせたものの方がパワーがでるんじゃないかと思ったんです。また、何年か前に、市場で食品サンプルやスイーツ系の雑貨が凄く流行って売れていたんですね。その要素と動物をかけあわせれば、より人気のでるアイテムが作れるのではないかなと。
- 前田 当時、動物系のリアルミニチュアも流行っていたんです。そうしたものをオリジナルで作れないかという声があった状況でもありました。
- ―― 最初に「いぬぱん」のアイデアをだしたとき、企画会議の反応はどうでしたか。今となっては長寿の人気シリーズですが、「犬とパンの組み合わせで大丈夫なのか」という声がでてもおかしくないと思います。
- 前田 会議では、「これは一体何?」という雰囲気から始まって、全然追い風はなかった印象でした。でも、そういう雰囲気の中で(企画を)通すのが、森は上手なんですよ。彼女ならではの世界観を提案して、みんなはそれを信じるのみという風になることが多くて(笑)。
- 森 たしかに会議では、「また森が何かやっているな」という感じだったと思います(笑)。説得材料として、「ノンキャラクターなのでキャラクターの使用料などが発生しない」というのはひとつ大きかったんです。開発ができることとして、最低数量で作れるようメーカーさんを説得するところから始めました。

- ―― 「いぬぱん」第1弾の反響は、いかがでしたか。
- 森 次を出してもいいぐらいには売れたと聞いています。実は発売された時、私は産休に入っていたので、反響を知ることはできなかったんです。「いぬぱん」とほぼ同時に、犬をやるならば猫もという流れで「ねこCafé」も企画して、原型まで関わったあとに開発の現場を離れていましたので。
- 前田 森が開発を離れたあと、私が「いぬぱん」と「ねこCafé」の開発を引き継ぎました。その後しばらくしてから、私も産休に入って2年くらいブランクがあるんです。最近になって、また開発に戻って担当することになりました。
- ―― 森さん、前田さん、その後に別の方、そして今は再び前田さんが担当されているわけですね。オリジナル商品を複数の担当者が引き継いでいくことは、よくあるのでしょうか。
- 前田 オリジナルは、開発担当者の想いでできているところが大きいので、普通だと人がいなくなったところで終わってしまうことも多いんです。ただ、「アニコラ」シリーズは数が安定していて、徐々に数字も増えてきているということもあって引き継がれています。

- ―― 「いぬぱん」の造型で、工夫しているポイントを教えてください。
- 森 「犬がパンの形をした着ぐるみを着ています」というコンセプトで作っています。いぬは面白い格好になっているとは気づいていないのがポイントですね。色遣いは、できるだけディスプレイ映えするように気をつけていて、ネーミングもダジャレっぽくしているんですよ。
- 前田 最初はちょっとしたアイデアだったんですが、シリーズを重ねるたびに、ダジャレがマストになってきて苦しんでいます(笑)。
- ―― たしかに犬種とパンの種類をあわせてモジっていますね。
- 前田 「いぬぱん」は犬種で成立するように頑張っています(笑)。ものによっては、先にダジャレを考えてから作っているアイテムもあるぐらいです。
- ―― 原型は、どんなところにこだわっているのでしょうか。
- 前田 基本、同じ会社にお願いしていて、その中で、犬が好きな方は「いぬぱん」、猫が好きな方は「ねこCafé」と分けて作っていただいています。犬とパンのリアルさは、特に追究している感じですね。あと、目をツヤっとさせているのがポイントです。
- 森 生きているんじゃないかと思えるぐらいの、キラッとした感じの目を目指しています。
- 前田 ガシャポンのディスプレイを見たときに、犬や猫と目があうことが大切なんです。
- ―― 実際の犬や猫も、ペットショップで目があったのがきっかけで飼うことになることもあると言いますものね。
- 前田 目があうと、なんとなく欲しい気持ちがわいてくるんだと思います。動物の目力には、いつも気をつけていますね。
- ―― 実際に手にとってみると、大きなサイズのものもあったりして、200円とは思えないお得感がありますね。同じ金額の他のアイテムよりもコストがかかっているようにみえます。
- 森 よく気づいてくださいました。そこもポイントですね。長いシリーズだからということで、生産メーカーさんには色々とご協力いただいています。
- 前田 オリジナルだからというのも大きいと思います。キャラクター使用料などが発生しない分、商品にコストがかけられるんです。シリーズの途中から、大型犬は大きくしたら面白いだろうということでビッグサイズのものも作るようになったんですよ。カプセルのサイズも大きなものに変わるんですが、これも好評でした。
- ―― 最近、猫の人気が高まっているというニュースがありましたが、今の「いぬぱん」と「ねこCafé」の人気の比率は、どれぐらいでしょうか。
- 前田 売れ数としては、「いぬぱん」の方がやはり人気は高いです。ただ、「ねこCafé」の数もだいぶ伸びてきていますし、猫好きな方からのコアな人気はアンケートからも感じています。今はもう、「いぬぱん」と「ねこCafé」は並列な扱いになっていますね。
- ―― ちなみに、おふたりは犬派と猫派、どちらでしょうか。
- 森 猫派です。ポチョフというロシアンブルーの猫を飼っていて、「ねこCafé」のモデルにしたことがありますが、1年前に家出をしてしてしまいました。今でも「ねこCafé」を見ると思い出します。
- 前田 私は犬派で、実家でトイプードルをずっと飼っています。名前はパルです。犬好きとして、どちらかというと「いぬぱん」の方に力をいれがちになってしまうので気をつけています。(笑)

- ―― 「アニコラ」シリーズでは、「いぬぱん」「ねこCafé」以外のシリーズも沢山だされていますね。
- 前田 犬や猫でない動物も、今後は色々と出していきたいなと思っています。今度新しくだすのは、「アニマート」というシリーズで、カピバラなど色々な動物がコンビニ食品の中に入り込んでしまったというものです。同じく「あにまるれすとらん」というレストランのメニューに動物が入り込んでしまったシリーズもでています。
- ―― 「アニコラ」シリーズの今後の展開について、聞かせてください。
- 森 これからも面白いラインナップが続いていってくれたらいいなと思います。犬とパン、猫とスイーツ以外にも、何か他のモチーフの組み合わせで面白いものがありそうな気がしますので、そうした新しい組み合わせのものにも期待したいです。今はアニコラの開発を担当しておりませんが、面白いものを思いついたら提案していければと思っています。
- 前田 「いぬぱん」も「ねこCafé」も10弾以上続き、固定のファンの方についていただいています。ファンの方々を大切にしながら、飽きさせない物作りをしていかなければと思っています。造型の可愛らしさは大事にしつつ、コンセプトの方は少し変えて展開していければなとも考えています。
- ―― コンセプトを少し変える予定があるのですか。
- 前田 今は詳しくお話できませんが、今年の夏以降、「いぬぱん」がどこかに旅にでるかもしれません(笑)。「アニコラ」シリーズは、毎月何かしら出しております。「アニマート」のような新しいシリーズも入れていきながら、動物好きな方を飽きさせないようにしていきたいです。