―『超闘士激伝』といえば、ガシャポン! 当時、かなり熱心に集められたのでは?
出口:う~ん、僕の闇に触れざるを得ない質問ですね……!(笑) 実は当時、あんまり買ってもらえなかったんですよ。山崎さんは東京生まれですか?
山崎:そうですね。ほぼずっと東京で暮らしてます。
出口:僕はね、北海道の石狩っていうところの出身なんですけど、あんまり栄えた街ではないんですよ。だから、週末に家族と一緒に出かける先が、イトーヨーカドーだったりするんです(笑)。で、フードコートでメシを食って、オモチャが欲しいとねだり、300円くらいもらって買ってたのが、『激伝』とかのガシャポンとカードダス。なけなしのお小遣いだから、それで全然欲しくないのが出たりした日にはねぇ。
山崎:「チェッ、アストラかよ」みたいなね(一同笑)。
出口:そういうこともあって、あんまり多くは持ってなかったです。お金持ちの家の子は、段ボールにいっぱい持ってたりして、こっそりシッケイして、それがすぐにバレて返したり(笑)。
山崎:闇だなぁ! 僕もそんなに自由になるお金はなかったけど、それでもガシャポンは結構回してた気がします。というか、中坊になっても回してましたよ。再生エレキングとか2代目メフィラスがラインナップされてて、ウヒョー!って(笑)。出口さん、『激伝』を読んでたの何歳ぐらいでした?
出口:たぶん、小学4、5年生くらい。だから,最終回までは読んでないんですよ。中学校に上がってから、「ボンボン」自体を買わなくなっちゃった。まぁ、弟のいる友達の家に遊びに行ったとき、「ボンボン」を見せてもらったりして、ちょくちょく追いかけてはいましたけど。
山崎:ちょっと未練がましい(笑)。そうなると出口さんは、いったん卒業して返り咲いたタイプですか? それとも卒業しきれずズルズルと?
出口:中学で音楽を始めて、マンガやアニメ、特撮から少し離れてた時期はありますね。当時、『ウルトラマンティガ』も観てなかったんです。それまで連綿と受け継がれてきたウルトラ兄弟の世界観とは違う物語だと聞いていたこともあって、そこに抵抗を感じたりもしてました。今となっては、ちゃんと当時観ておけばよかったと思うんですけどね。でも、わりとすぐ戻ってきたんですよ。というのも、僕は80年代の音楽が好きなんですけど、特にどハマりしたのがナゴムレコード……。
山崎:あぁ、筋肉少女帯とか有頂天とか?
出口:そうです、そうです! まず有頂天にハマッて、そこから筋少にも興味を持ち、「オーケン(大槻ケンヂ)、すげぇ!」と。
山崎:オーケンは、自分のバンドに“特撮”なんて名付けてるし、エッセイでも特撮ヒーローのことを書いたりしてますよね。
出口:ええ。彼が書いてるものはひと通り読んだんですけど、そのうちに「あっ、やっぱり俺は特撮が好きなんだ」って。
山崎:なるほど。なんとなくのイメージですけど、特撮が好きなミュージシャンって、結構多くないですか?
出口:全員が全員じゃないけど、確かに多いと思います。結局、人間は13歳前後に受けた影響が一番強いらしいんですよ。で、ちょっと普通の道から外れちゃってる子は、ずっとそれを追いかけちゃったりするんですけど、ミュージシャンなんかもそうなんですね。
山崎:そうか、根本的に卒業できない人種なのか(笑)。でも、ガンダムシリーズの富野由悠季総監督も言われてましたよ、「11、12歳ぐらいまでにあなたが好きだったものにこだわれ」って。ちゃんと自分の持ってる指向性や方向性に合致したものを作らないと、他人のコピーになってしまうということみたいですね。
出口:なるほど。自分たちが音楽を作るときの基準って、まさに12歳のときの自分が聴いたらどう思うかなんですよ。アルバムのタイトルから曲そのものまで全部。子供の頃の俺らが「この曲、すげえな! やべえよ!」と思ってくれたらいいよね、と。