こんにちは。開発担当のK澤です。
以前駒形屋コメントBOXや、Twitterでの円安への投稿への反応も大きく、皆様もとても気にしているであろう円安や製造コストの暴騰と各シリーズ商品への影響について少しご説明したいと思います。
駒形屋(仮)では、「シリーズが予告なしにフェードアウトしてしまったり」しないようにする、「値段が上がったけどどうしてかがわからない」というときに少しでも納得できる材料を提供するという意味でもコスト周りを私のできる範囲で赤裸々に皆様にも教えてしまうようにしております。それを言い訳と感じてしまう方や、コスト周りの話には興味がないという方向けのブログ記事にはなっておりませんので、コスト周りが気になる方や興味のある方のみお読みいただければ幸いです。
昨今、あらゆるものの値上げがニュースで特集され、夏にはさらなる値上げの必要性、様々な高騰は秋以降が本番だという、え?っていう話が毎日ニュースで流れています。そんな中で
【まず結論から】
上代アップや、場合によってはシリーズの終了を避けることはおそらく不可能です。これは、昨今の生産環境が、急激な【円安】だけではなく、【材料費の高騰】【工場人件費の高騰】【燃料費の高騰】【輸送費用の高騰】などなど、複数の要素が同時に、かつ急激な速度で来ているためどれか1つの要素が解決したからどうにかなるという状況ではないためです(例えば今の1ドル138~9円前後の環境が110円くらいまで円高になっても厳しいです)
しかしながら、私のできる範囲であらゆる方法を使いながら調整を続けることで、できる限り長く現状の値段を維持できるように尽力いたします。すでにいろんな玩具や商品が結構インパクトのある値上げをしている状況ながら、まだアンサンブルやアクアシューターズといったシリーズが500円(税抜454.54円)で続いているところで「何となく踏ん張ってんだな~」くらいに認識してもらえると幸いです。いろんな商品が軒並み上がっていく中、いまだに意地で踏ん張ってるのが駒形屋アイテムというので努力が少しでも伝わればなと。
我々は皆様に気に入っていただける商品を作れるよう努力を続けるということに変わりはありません。きついから買って応援してくれよな!とかではないのでご了承ください。
いいもの作るので、皆気に入ったらよろしくね!という感じです。これから先、玩具に限らずあらゆるものが高騰していく中で購入できるもの、できないものが出てくると思いますが、今まで通り選んでもらえる良い商品を作り続けます。ただ、企業である以上、利益が出ない商品は作る(続ける)ことができないので今後商品への影響や仕様などへの対応を行う可能性があるというのをご了承いただけると幸いです。
【そもそも円安ってどういうこと?】
これもサクッと説明してしまうと、他国の通貨に対して日本の円の価値が下がるということです。今1ドル139円まで到達しておりますのでそれを例にすると
<1ドル=100円で1ドルの商品を仕入れて150円で販売した場合>
100円で仕入れて150円で販売するので
150-100=50で50円の利益
<1ドル=139円で同様の商品を販売した場合>
1ドル139円なので1ドルの商品の仕入れ値は139円
150ー139=11で11円の利益
ものすごく簡素な例ですが、この例だと1ドル100円が1ドル139円に円安になった瞬間、50円の利益が11円(22%)まで落ち込んでしまうのです。去年の今頃がちょうど1ドル108円なので、この円安の影響だけで28%以上仕入れコストが上がっているということになります。仕入れ値が28%値上げしているということは500円商品だとすると、【単純に650~700円くらいに値上げ】しないと去年と同じ利益が取れないということです。(実際は数量とかいろんなものが絡んでくるのでもっと上げる必要がある)
ニュースなどで急激な円安が多く取り上げられ、いろんなものが急激に値上がりするわけがわかりますね・・・。ちなみにこの円安水準は24年ぶり、この急激な変化に我々も皆様もまだ全然慣れないし(慣れることなんてないですが・・・)対応できていないというのが現状です。
ここに【材料費の高騰】【工場人件費の高騰】【燃料費の高騰】【輸送費用の高騰】などが【急激に高騰して】追加で乗っかってきてるため、「上代アップをしない」とか「シリーズを終了しない」という選択肢が存在しないという状況なのです。燃料費が上がればそもそも石油から作られるプラスチック(原材料費)があがるのは必然だし、船などの輸送費も上がる、電気代だって上がるし、人件費だってどんどん上がっている。世界的なコンテナ不足で輸送費は燃料代以外の要因でも急激に上がっているし、この影響で生産進行も思い通りには進みません。そして、商品を輸入でドル取引しているんだから円安のこの環境で今までのやり方や今までの上代維持ができる要素というのが全くないので困ってしまいますね・・・という状況です。
【じゃあ各シリーズはどうするのか?】
基本的には、結論でも書いた通り全力で上代アップしないように頑張る!という感じです。頑張ってどうこうなるものか?っていわれるとどうこうなるものではないのですが、上代アップが必要になる場合や、終了せざるを得ない場合などには過去にロボットコンチェルトで行ったように告知をきちんと行おうと思っております。フェードアウトして音沙汰がなくなるということが無いようにしますので、何も告知がないうちはそんなに気にしなくてもいいかなと!
ちょっとだけ各シリーズに触れておきます
<モビルスーツアンサンブル>
今しばらく500円のまま続けていきたいと思っています。これは、アンサンブルが14弾以降どんどん数を伸ばし、売り上げ記録を更新し続けるというユーザーが拡大している状況でその流れを崩したくないので1番の踏ん張りどころかなと。新規ユーザーがどんどん増えてくれているため、再販が通常弾と同じくらい売れるためそちらで利益を多少積み上げたりというので踏んばろうと思っております。問題は原型代とか金型代などがない再販品を最新弾と同じくらい出荷しているのに、企業としてこれくらいは欲しいよねという利益のラインを割ってしまっていることなんですよね…。
アンサンブルはもともとEXが売れた分で通常弾をフォローしつつ、EXがたくさん売れたら通常弾に還元するというスタイルをとっており、それも継続して続けていきます。この方式で誤解されている方もいるかもしれないのですが、EXに通常弾の足りない利益分を乗せて高い値段設定にしているということはありません。EXも、過去の販売実績や現状の生産環境を反映してギリギリまで値段を抑えて提供しております。
結果、急激な円安の影響を受けて春先~のEXは非常に多くの方にご予約いただいたにもかかわらずほとんど利益が取れなかったという・・・(環境変化が急激すぎてすでに価格決定していたフルクロス、ZZ、キュベレイあたりは利益が出ずもはやただ働きみたいな感じでした)EXで通常弾をフォローというのは、通常弾が1弾出る間にEX2商品以上出したりで【手数で稼いでいる】のです。なので、EX全部追いかけてるぜ!という方々には本当に感謝しかありません。もちろん、好きな機体だけでもEXつまんでるよ!って方にも感謝ですし、通常弾買ってるぜ!という皆様もありがとうございます!
<ガシャポン戦士>
16弾の結果を見つつ今後の展開方法を検討。
400円に上代アップさせていただき、400円にアップした15弾がここ3年で最高実績をたたき出すという値段に負けず根強い人気のガシャポン戦士なのですがこの子たちが1番難しい状況です。アンサンブルとは違いEXの手数で稼ぐというのがなかなかできず、400円への上代アップも今の円安前に設定したものなので現状は500円にしても厳しいという状況です。種類数なのか、販売方法なのかなども検討しながら、継続への道を模索という形になります。
16弾を12月に発売予定なので、是非是非手に取っていただければ幸いです。16弾は工場もアンサンブルと同じところで生産するので、なかなかアツい仕上りになると思います。
<アクアシューターズ>
まだ現状の500円を維持で検討しています。アクアシューターズは正直業の深い商品で、企業の利益とかこの商品1つを作るための私の労力を考えたら速攻で閉じたほうがよいシリーズです。というのも普通に考えたら【500円でこんな彩色済みの可動フィギュアが出せるわけない】んですよね・・・。顔もちゃんと印刷入ってて、彩色もされていて全身14か所の可動までする。組み立てという要素と、大量生産品という要素以外は数千円で売っているデフォルメ可動フィギュアと仕様上そこまでの差がないので、実はお得品どころの騒ぎではないのです。
カプセルで大量生産で金型代などの固定費を償却するというガシャポンならではの展開方法と、効率悪すぎて誰もやらないけど手間のかかるいろいろな工夫をすれば何とかなるんじゃね?ということで生み出し、DX版やコラボ版もご好評をいただきで何とか続けているという感じです。これに関しては私の愛だけで続いているシリーズです。アクアシューターズ1品成立させるために普通の商品5つ作るくらいの労力をかけて・・・みたいなこんなの他の企画の人絶対誰もやりたくないよね・・・って商品です。シリーズ閉じて他の商品5品やったほうがよっぽど売上も利益もとれますからね…。でもね、こうなってしまったの!できてしまったのよ!というセシリーみたいなこと言いながらなんとかなんとかやっていきたい商品です。
最近ではメイド長やコラボラインの展開から新規ユーザーも増えてきており、通常弾に関してもシリーズを通して安定した販売数量を維持できているので(普通はシリーズを追うごとに数量は減っていく)、ここからもいい感じに育てていければなと・・・・。
こちらに関しては、フェイスパーツセットやDX弾のペースを増やすことでアンサンブルと同じような構造で継続を目指しております。DX系やオプションなどプレミアムバンダイ商品もアンサンブルと同じく、通常弾をフォローするために値段を乗せるということはしておらず、それぞれ単体でギリギリのコスト(上振れてくれた分で通常弾をフォロー)という形をとるので、通常弾しか買ってなかったけどたまにはオプションも買ってみるか~という感じでDXやオプション系も手に取っていただけますと幸いです。メイド長やかのんなどDXやコラボ系高いって思われるかもしれないのですが、普通に作ったらあっちが本来の価格なのです。
※アンサンブルのEXやアクアシューターズのDXなどのプレミアムバンダイ商品に関しては数量が伸びれば次弾の値段を下げたり同じ値段で仕様をアップしたりできる可能性があります。良いなと思った商品は購入してくれる人が増えるように情報を拡散したりしていただけるとありがたいです。高額ラインはもともとが高くてでも欲しいという人のために作る少数生産品のため、購入者が大きく増えれば結構インパクトのある変化をさせることができるのです。
【ガシャポンクエスト】
このブログ、もうちょっと前に公開予定だった記事なのですが、その間にガシャポンクエストの存在を発表してしまったのでそちらも少しふれておきます。もともと4年前(別にアクアシューターズが前身とかでも何でもないですが、アクアシューターズが生まれたとき)から検討を開始していたシリーズなので、今の時代に全く合っておりません。アクアシューターズよりさらに企画も開発もカロリーが半端じゃないので、商品化する前に断念するのが効率の良い判断なのは間違いないのです。しかしながら、この4年間の間に生まれたガシャポンオンラインなどを駆使すれば可能性はあるのでは?ということでここまでの努力を無駄にしたくない!っと「えいや!」で押し通して展開するシリーズです。とはいえ、非常に素晴らしい自信の商品なので当然長期継続を目指して展開したいなと!
アクアシューターズとは異なり、これもロボコンと同じで〇弾で完結で~という構想が最初からあるシリーズです(ロボコンよりはるかに先まで構想が作られています)。そこにたどり着くまでは絶対続けたいなと個人的には思っております。
というかんじで、継続でナンバリングしている各シリーズの今後でした。大量生産品は1度でも判断を誤ったり、需要を読み違えると1発終了してしまうためシリーズがなかなか続かないものなのです。皆様のおかげでどのシリーズもしっかり売れてくれて継続できている状況です。大量生産で【より多くの人が求めているもの】を作っていくので皆が皆納得で満足の完璧な商品というものにはどうしてもできないのですが、最初からついてきてくださっている方、新規に購入してくださっている皆様本当にありがとうございます。
今5年前の商品みると。5年前は安かったな~なんて思いますが、この半年で5~10年たったというくらい生産環境が変わりました。厳しい生産環境は続きますし、皆様もすべてを買い続けるというのは難しい状況が続くと思います。そんな中でも皆様に欲しいと持っていただける商品を引き続き作っていきますので、気になった商品は是非手に取っていただければ幸いです。
皆でそれぞれのシリーズを盛り上げていきましょう!
よろしくお願いいたします。