本商品リリースを記念して、サスケ / ニンジャレッドこと小川輝晃さん、サイゾウ / ニンジャブルーこと土田大さんにインタビュー! おふたりは現在でも親交があるとのことでしたが、その会話はまさにサスケとサイゾウそのもの。「HG忍者戦隊カクレンジャー」を前に、当時の思い出を含めて、カクレンジャーへの想いを沢山お話頂きました。

■HG忍者戦隊カクレンジャー発売決定!!
――さっそくですが、今回の商品(HG忍者戦隊カクレンジャー)のお話を受けて、いかがでしょうか?
土田:いや、正直びっくりしました。バンダイさん、今いろんなキャラクターを商品展開しているじゃないですか? 結構、僕はフィギュア関係が好きなので、いつもチェックしていてますが、ついにカクレンジャーまできたかと。
小川:たしか前にも“印籠”が……。
土田:「ドロンチェンジャー」ね。
小川:大人向けの商品がリリースされた時、「すげえな、これ買う人いるのかな」と思ったんですよ。でも、あとで「かなり売れた!」とお聞きして。
土田:そう、あの時僕も人から頼まれて、(ドロンチェンジャーに)サインした!
小川:そしたら今回、「また、カクレンジャーアイテムがきた!」みたいな。いやでも、これはね、欲しい! 僕はあまりフィギュアに興味のない方ですけど、これは欲しい!
土田:そうだね、これはレッドだけじゃなくて、全部そろえたいよね。

――ありがとうございます。ちなみに「HG忍者戦隊カクレンジャー」は5体セットになります。
土田:セットなんですか! それは良心的ですね。
小川:(商売的には)一個ずつのガシャポンのほうがいいんじゃないですか? そしたら、みんなそろうまで、絶対にまわしちゃうし(笑)。
――今回はプレミアムバンダイでの受注販売とさせて頂きました。実際のサンプルを見て頂いて、感想はいかがですか?
小川:指先の曲がり具合まで、似てますよ。どんなこだわり方してるのかと。
土田:ベルトの後ろのバックルまでリアルに再現してるなんて、すごいですよ。当時の商品でも、けっこう驚かされるものもありましたけど、今のフィギュアはものすごく細かいところまで再現されていますよね。例えばこの銃、「カクレイザー」まで腰のフォルスターに入ってる!
小川:これバックルも全員デザインが違うね。
土田:そうそう! そこもさ、ちゃんと墨入れしてあるんだよ。
小川:“墨入れ”とか専門用語を言っちゃうところがすごい(笑)。
土田:カクレイザーの赤いラインって、普通のフィギュアだったら黒で塗りつぶして終わりなのに、しっかりと再現されてるし。「秘剣カクレマル」だって“忍”の文字があるんだよ。
小川:え? ……本当だ! 5つのマークも入ってるよ、これ。
土田:……なんでブルーを見てるの?
小川:いや、レッドを壊しちゃったら困るし。
土田:自分の(レッド)見なさいよ!
小川:いや、触りたいんだけど、触ると絶対に壊す……。
土田:昔からよくモノを壊すよね(笑)。
小川:撮影当時、いっつも怒られた……。
土田:力の加減がヘタクソだよね、昔から。
小川:あの、“印籠”あるじゃないですか?
土田:「ドロンチェンジャー」ね(笑)。
小川:序盤の撮影で「これ大事にしてください」と言われていたプロップ(撮影小道具)を、変身ポーズ時に手が滑って投げてしまって……。どこかの工場での撮影だったかなぁ?壁に激突して大破させてしまいました。。。
土田:なんか若干覚えてる。「あぁー!!」って、みんなから悲鳴が(笑)。
小川:悲しい音がしましたね。。。
──で、そんなことを言いながら、小川さんはレッドではなくて、ブラックを手に取るんですね(笑)。
小川:そうですね(笑)。でも、ブラックでも、マスクの艶感と、スーツの艶消しとか、塗装も違っていて、リアルですよね。
マスクの艶感は本当に、本物みたいにリアルだよね。もしかして、これって“スーパー戦隊フリーク”よりも、“スーツアクターフリーク”の方が欲しがるよね。リアルすぎて。
土田:ニンジャブルーは(スーツアクターの)宮崎剛さんそのものだもんね。

――最近はデジタル原型も多いですが、今回は原型師さんが一から手原型で再現しています。
小川:実は僕自身、3Dプリンタで結構立体を作るんですよ。それはスキャンをきっちりしたら、簡単にできるんですけど、当時のカクレンジャー本人をスキャンしているわけじゃないじゃないですか? だから「どうやって作ったのかなぁ?」と不思議に思っていて。ちょっと原型師さんに弟子入りしたいくらいです。
土田:じゃあ、弟子入りしなさい(笑)。
小川:このホワイトのお尻の出かたとか、体重を微妙に右足にかけてるところもすごく。村上利恵さん(スーツアクター/ニンジャホワイト役)、そのまんまなんだよなぁ。しかも、前姿は写真が残っているでしょうけど、後姿なんて、あまりないじゃないですか?
――後姿などは当時の映像を観ながら、再現させて頂きました。
小川:きっと原型師さんはだいぶ泣かされたんでしょうね。「喜多川さん(スーツアクター/ニンジャブラック役)はこんなんじゃない!」とか(笑)。
土田:クマード(ニンジャイエロー)、すごいよね? (足の)接地面、めっちゃめちゃ小さいじゃないですか?
小川:自分で作るからわかるけど、普通は絶対に立たないんですよ。でも、これは「ポーズしてるのに何で?」って思うくらい、しっかりと立つ!
土田:いやあ、これすごいですね。バランスピカイチじゃないですか、クマード!
小川:なんか並べると面白いね。間抜けなポーズだけど(笑)。
土田:“間抜け”言うな(笑)。
小川:いやだって、これちょっと後ろから見てください。ケツがコレ!
土田:ケツ! ケツ! ケツレンジャー(笑)。
小川:この尻がまたリアルなんですよ。決めポーズの尻(笑)。
土田:そういえば、ジライヤ(ニンジャブラック)のポーズは、ケインもかなり苦労してましたよね。
小川:このポーズだけなら簡単なんですけど、一連の動きの最後にこのポーズが難しかったみたいです。

■『忍者戦隊カクレンジャー』の思い出
――撮影当時のお話をお聞きしてもよろしいでしょうか?
土田:怒られてばっかりだったよね(笑)。
小川:きっと新人を鍛える意味でも、スタッフもわざと怒るところがあったのかも。
土田:うーん、あったねぇ。
小川:インタビューで何回も言っていますが、木の陰から顔を出すシーン。第1話のカッパの時ね。覚えてない?
土田:カッパ? ああ! キュウリ!
小川:木から覗いて顔を出すだけのシーンなのにOKもらえなくて、20回くらいやったり。
土田:うーん……もう、なんかよく覚えてないんだよね。あの第1話はつらすぎて。モーターボート運転させられた覚えはあるけど。その時、「これは大変な一年になりそうだ」って思いましたね。
小川:で、1話で僕らふたりは大変だなと思っていたのに、2話から登場の河合(ニンジャイエロー/セイカイ)が一番怒られてた(笑)。
土田:河合は苦労してたよね。
小川:ニンジャイエローのスーツアクター石垣さんは、当時すでにベテランで特に厳しい方だったんですよ。
撮影終わったあとも、ロケバスでずっとダメ出しされてましたね。
土田:今でも、会う度に彼はその話をしますよ。
小川:ああ、そうなんだ。
土田:当時、終わったあと、すぐに家に帰れなかった、と。もうがっかりすぎて。
小川:逆に僕の方は高岩成二さん、今でこそレジェンド級のスーツアクターですが、高岩さんにとって初めて主役の“レッド”を担当した作品だったこともあり、「一緒に作っていこうぜ」みたいな雰囲気でした。

――スーパー戦隊は、変身前の役者さんと変身後のスーツアクターさんは一心同体とよくお聞きしますよね。
土田:ええ。でも、それぞれ本当に大変だったと思います。僕もそうでしたけど、それぞれ難題を抱えながら。過酷な現場でしたね。
小川:僕が過酷だったのは、「姫がリーダーだから」ってずっと言われていて……。
土田:未だに言ってるの、それ(笑)!? もう25年経ったんだよ!
小川:あははは(笑)。でも、僕自身はあんまり怒られなかった。ふたり(土田・河合)がそれを担ってくれたんで。
土田:そうだね、僕が怒られるのはわざとだから。みんなにターゲットがいかないように。
小川:それは助かりました。
土田:うん、任せといて(笑)!
小川:変身後って、僕たちはヒマというか、撮影に関わらないじゃないですか。その間、ケインと姫(鶴姫 / ニンジャホワイト役広瀬仁美)はロケバスで休憩なんですよ。まぁ、暑いですし。でも、レッド、ブルー、イエローの3人はスタッフに「撮影、ちゃんと見てろよ」ってずっと言われていて。
土田:(笑)。
小川:姫は当時中学生だから「まあ、いいじゃん」で。ケインは当時、まだ海外から来日したばかりの外国人枠で。
土田:“外国人”って言い方(笑)。
小川:でも、レッド、ブルー、イエローが同じように「ちょっとロケバスいこうよ」とか言おうものなら怒られる(笑)。「お前らよりも先輩が、お前らのために怪我しながら頑張ってくれてんだよ!」みたいな。
土田:そういう意味では、黄色と青は一番の下っ端でしたね。ドロドロの方が偉かったです(笑)。
小川:まあ、ドロドロの人たちは結構ベテランなので。
土田:第27話「無敵将軍の最期」で、“へのかっぱ”になった時も、ドロドロ以下の最下級の妖怪ってことでしたから。現実と作品がシンクロした(笑)。
小川:最初はカクレンジャーよりもむしろドロドロの方が人気あったよね。あのエンディングダンスがかわいかったし、すごかった。
土田:(撮影は)幕張メッセだっけ?
小川:うん。思い出すねぇ。何も知らないままね、あそこに連れていかれて。
土田:そうそう、あそこで「あのビルが妖怪だと思え」って言われて。ビルに向かってみんなで「いくぞー!」って(笑)。
小川:たくさんの見学者がいた中でもね、「妖怪め!」みたいな。やってたね。
土田:あとはネコマルですね、あれ、ボロボロのシボレーで。
小川:今までのスーパー戦隊は基地があったんですけど、カクレンジャーはロードムービー的なものしたいと、(本拠地が)ワンボックスカーみたいな妖怪バス「ネコマル」になったんです。でも、今までは基地があったから雨の時は必ずそこで撮影する、要するに普段は外でロケ、雨天は基地の収録が定番だったみたいで。それもあって、カクレンジャーは「雨でも外でやるぞ」みたいな空気でしたね。
土田:あれ、エアコンついてなかったんですよ。
――きっと夏場は大変ですよね。
土田:そうなんですよ、その夏場に「首都高を走ってるシーンが欲しい」と言われて。湾岸線が一番混んでる時間にですよ?ずーっと渋滞!そういう時は大抵セイカイとふたり。
小川:今、思い出したのは、石神井公園のキャンプ? ネコマルでクレープ屋をやりながらそこでキャンプをしていて。夜に妖怪が出てくるエピソード。
土田:みんなで寝た!
小川:すごい蚊にくわれたこと思い出した(笑)。
土田:そこ?
小川:あと、ネコマルは椅子がね、すごいチャチかったんだよね。しかも、二席しかなくて。さらに助手席は折りたたみ式のような椅子でしたからね。
土田:そうそうそうそう! 5人ぎゅうぎゅうになってたもんね。しかも、左ハンドルだから運転しづらい!

――土田さんは運転シーンも多かったですよね。
土田:あの頃、みんなの送り迎えの運転手もしてましたよ。兄のお下がりの車で。レギュラー4人くらい乗せてました。
小川:すべてあれで移動してたもんね。今思うと、もし事故ってたら本当にやばかった……。
土田:本当に責任重大だったんですよ!
小川:でも、ケインに「ダイちゃん、運転うまいネエ」って言われてたよね(笑)。
土田:「お前、西海岸と違うんだよ! 東京はこのくらいが普通だぜ」って言ってやりました(笑)。車には当時のカクレンジャーフィギュアも大事に飾ってましたよ。でも、車に置きっぱなしだったので、夏の暑さで溶けちゃいました。
小川:そういえば、夏場、忍者装束でナイトシーンの撮影する際、僕、結構日焼けしていて真っ黒だったんですよ。そしたら「小川! 歯しか見えねえぞ!」とか言われて。当時はフィルム撮影なんで、(露出の問題で)普通は夕方くらいにもう撮れなくなるくらいだったんですけどね。
土田:でも、本当に茶色かったよね。まあ、もっぱら屋外にいるから日焼けはしょうがないんですけど。群を抜いて黒かった(笑)。
小川:日焼け止めなんて効果なかったもん。当時、姫は僕より12歳下だったんで、当時で言うと中一くらい? だから「肌を見せすぎるのはマズイだろ」って、僕が肌見せ要員になったわけですよ。
土田:そうなの(笑)? だから、あんな破廉恥極まりない服?
小川:いやだってさ、夏、めちゃくちゃ袖が短いTシャツと、ホットパンツみたいな短パンだよ? ありえないよね?
土田:今日のインタビューも何を着てこうかと思って。ちょっと当時の衣装のイメージを見ようと検索した時にあらためて見たんだけど……。あれ、新しくもなく古くもなく、しかも揃えられない斬新なセンスだよね(笑)。
小川:ちゃんと衣装さんが入ってたんだよね。でも、僕は夏服になったら何故かジーンズの短パンを二枚履きになって。
土田:あっはっはっは(笑)!
小川:しかも「一番上側のボタンを開けて履いてください」って言われてんですけど、どうしてもずり落ちてきて。「これ、どういうものなんですか?」みたいなことをずっと聞いてました。「いや、こういうのが流行る時代がきます」って衣装さんは言ってましたけど(笑)。
土田:いやいやいやいや(笑)。
小川:当時、なぜか靴だけは衣装代もらって、自分たちで買ったよね。
土田:みんなで買い物に行ったよね。
小川:「自分たちの好きなものを買ってください」みたいな。
土田:まあ、当時は随分スタッフの皆さんにお世話になりました。
小川:こうやって立体を前に話していると、当時のことを思い出してきますね。思い出してくるけど、それがはたして正しい記憶かどうかはわからないですけど(笑)。
──お二方にとって『忍者戦隊カクレンジャー』はどのような存在なのでしょうか?
土田:カクレンジャーがあったからこそ今僕らがいるような気はしますね。この作品に出会えてなかったら、今、何やってただろう……想像できないな。
小川:僕はたぶん陶芸とか。本当にありがたいです。
土田:最近、この作品はいろんな方に観ていただいていたんだなぁと、本当に思い知らされますね。とある現場で一緒の後輩が、ある日突然、写真を持ってきたんですよ。ちっちゃい女の子と写ってる僕の若い頃の写真。
小川:おお!
土田:で、「実はこれ私なんです」って言われて。
小川:後楽園かどっか?
土田:大泉のシネファンタジーの写真。「この時、私5歳でした、全然覚えてないですけど」って言われて。その日の仕事、めっちゃ緊張したよ~。
小川:みんな後から言うよね。
土田:先に言ってもらっても、何か変わるわけじゃないですけど(笑)。心構えがね。
小川:でも、みんなありがたいよね。遠藤憲一さんも最近、カクレンジャーで貴公子ジュニアだった頃の話をしていただいていて。遠藤さん、最初は「髪を染めてくれ」って言われていたみたいですが、他の仕事もあるからと断ったそうです。その代わり毎回、金のスプレーで塗られていましたね。メイク時間も含めて、それが大変だったっておっしゃっていました。
土田:遠藤さん、ずっとギター持ってたよね。
小川:そう、鳴らないギター。
土田:でも、「あれがないと寂しくなってきた」って話をご本人から直接お聞きしたことがあります。「何も持ってないと芝居ができない」って。“貴公子ジュニアの病”におかされてますよね(笑)。あの、(遠藤さんの演じた)貴公子ジュニアのフィギュア出ないんですか?
小川:今、出したら絶対売れますよ!
土田:あと胸の辺りのボタンを押すと変身前と変身後のマスクが切り替わる玩具が当時あったんですよ。悲しかったのは、変身前の僕の顔があまり似てなくて…(笑)。25年も前の商品なので、仕方ないんですけどね……少しショックでした。(笑)
小川:今だったら……ねぇ?
土田:もうすごいリアルになってるから。あれ作ってほしいなぁ。
小川:でも、そしたら今の顔になっちゃうかもよ?
土田:あ、そっか!
小川:今度は僕がショックになる。51歳のニンジャレッド、サスケが出てくるんですよ。し、シワが……みたいな(笑)。
──その際はきっと当時のお顔で再現だと思います(笑)。

■ファンへのメッセージ
では、最後に当時のファン、そして、「HG忍者戦隊カクレンジャー」を手に取っていただけるであろうユーザーの皆さんにメッセージをお願いします。
土田:カクレンジャーを観ていた当時の子供たちが、今、社会に出て、皆さんも、同じように頑張ってると思います。先の見えない、おかしなことも結構たくさんあるような世の中で、このフィギュアや作品を見た時に、昔の自分に返ってひと休みしてもらえるといいですね。フィギュアを手にした時、子供時代の自分を思い出してもらえると嬉しいです。
小川:昔は子供と大人の線引きがすごくあって、「いい加減大人なんだから」と、こういうフィギュアやヒーロー趣味はやめるように言う人もいました。でも、今は時代がすごく変わってきて、それこそハリウッド映画で一番興行収益が高いのはヒーローものだったりするわけですよね。そういう意味で、子供の頃のままヒーローが好きでいられる今の世の中はすごくいいなと思っています。まあ、僕ら自身がね、ずっと子供のまま大人になってますから。
土田:一緒にしないでよ(笑)!
小川:スイマセン(笑)。ええとなんだろ、そういう意味でも、大手を振って、ぜひ手に取っていただければと。しかも、例えば「似てるけどなんか違う?」みたいなキャラクターグッズもありますが、これは本当にそっくりで当時を思い出せるの! やってた本人が思い出せるくらいなんで、手にしていただければ、当時の甘酸っぱい記憶とか、すべてよみがえると思います(笑)。そういう意味でも、ぜひ手に入れてもらいたいです。
土田:そうだね。
小川:ファンの皆さん、こんなにカクレンジャーを好きでいてくれてありがとうございます!
――ありがとうございました。

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