かめ開発担当の誉田です。
今回はかめ開発最後の仕事となるディスプレイカード作成の話です。
宣伝をあまり行わないカプセル商品では、自販機の表に差し込まれている「ディスプレイカード」が非常に重要な役割をもちます。
ガシャポン「かめ」のディスプレイカードは上のようなデザインを作成しました。このデザインに行きつくまでの話となります。
このブログを読んでいただいている皆様であれば、ガシャポン「かめ」がどういったものかをご理解いただいていると思いますので、どんなディスプレイカードであっても問題ないかと思いますが、通常のカプセル商品は、ほとんどの人が事前に何も情報を持っておらず、
「その自販機の前を通りすぎる時に、立ち止まらせることが出来るか?」
が、重要で、それにより売れ行きが左右します。
なので、ディスプレイカードは、
「一目でどんな商品かがわかるか?」
が非常に重要です。
そもそも低単価のカプセル商品を企画する時には、何かひとつの要素に絞って企画をまとめていくことが多いです。
それが、商品の尖った部分となり、その尖った部分を通りすがりの人にうまく刺さるように伝えれるか?が、ディスプレイカードの役割といっても過言ではありません。
とはいえ、毎月かなりの数のカプセル商品が発売されていますので、似たようなデザインとなることも多く、目立たせるのは簡単ではありません。
練りに練って作成したのに、売り場では目立たずに終わったということもよくあります。
では、前置きはこれくらいにして、ここから実際のデザイン進行の話です。
ディスプレイカードのデザインスタートは、どのようなテイスト、方向性にするか?を決めていきます。
あらかじめ、デザインが決まっている場合はそのラフをデザイナーに渡してまとめてもらいますが、今回は、特に決まっていなかったので、デザイナーにラフ案として3点のディスプレイカードをデザインしていただきました。
1枚目はシンプルに白をバックに商品を2体並べたものです。
商品の内部構造も入れて、こだわりポイントもきちんと入っています。
背景を白にすると、この商品が子供向けというより、大人向けにこだわりを持って作った商品っぽく感じます。
ただし、このデザインでは、サイズ感が伝わらない問題もあります。
大人向けの商品は白をバックにすることが多いため、ガシャポン売り場では周りと同じ色合いとなり紛れて目立たない可能性も高いです。
2枚目は背景を白から草原に変更したもので、カラフルなものになっています。先程のものとは逆に大人向けというより、万人受けを狙ったデザインになっています。
また、商品サイズがわかるように手の上に乗せた画像も入っております。
ただ、内部構造の絵がないため、本格的可動フィギュアということは伝わらず、方向性がどこを向いているのかわからなくなっています。
商品を知らない人には商品仕様がわからず、通りすぎてしまう可能性が高いように思います。
3枚目はポップなイメージで、ロゴを大きく目立つように配置、商品4体を並べました。
カプセルがたくさん並んでいる場所でも目立つことは間違いありません。
ただ、商品内容は伝わらないので、単なるカメのフィギュアとして認識されそうです。
これまでかめを扱ったフィギュアなどはカプセル玩具では非常に多く、いろんな会社から発売されてきました。
なので、これまで同様のかめのリアルフィギュアと認識される可能性大です。
今回の商品の尖った部分は、カプセルレスにしたことで、
「カプセル商品で、最大の大きさで、かつ、本格的に構造に拘った今までなかった可動のかめフィギュアだということ。」
です。
そのため、ガシャポン「だんごむし」の時と同様、大きさのアピールを一番前面に打ち出すことにしました。
なので、だんごむしの時と同様に、手の上にかめを乗せたカットを中心にデザインすることにしました。
また、手の上に乗せたデザインをメインにすることで、だんごむしを購入して頂いた方には同じシリーズということを認識してもらいやすいと考えました。
デザインの優先順位はこんな感じです。
1、「でかい!」という大きさが一目でわかる画像を真ん中に大きく載せることで、通りすがりの人にサイズ感の驚きから、足を止めてもらう。
2、興味を持った人はディスプレイカードを読み始めますが、内部構造がわかる絵をどこかに入れておくことで、本格的に可動するということを理解してもらい、興味をもってもらう。
3、最後に、購入しようか迷っている人の背中を押すために、彩色等がわかる画像などをきっちりと入れ、実物を見てみたくなるような心境にさせる。
この優先順位をもとに下の2枚をデザインし直しました。
背景の色ですが、近年、生き物系のカプセル玩具は、白ベースのものが多く、白の背景だと売り場で紛れてしまいやすいと考えたことと、
また、黒のほうが商品が映えたため、黒をベースにしました。
まず、左側のものは、手を前面に向かって差し出しているこの画像でインパクトは出ました。
ただ、手がスペースを取りすぎてしまい、下の亀の画像に思いっきり被ってしまいました。
右側のものは、手と水平に写真を撮ったことで、手の面積が小さくなり、画像を入れるスペースが大きく取れるようになりました。
今回は出来るだけたくさんの画像を入れたかったので、こちらの方向でさらにデザインを詰めていくことにしました。
ただ、手のひら部分が見えてなさすぎなので、大きさのインパクトを出すためにはもうちょっと手のひらが見えたほうが良いと思い、カメラのアングルをいろいろと変えて画像を数枚撮り、次にそれで組んだものを上げました。
ちょっと、手の向きを変えて2枚ですが、かめの顔をしっかり見せたかったので、斜め上からの下側のものより、横から撮った上のデザインで進めることにしました。
ただし、ここで、インドホシガメばかりが目立っており、ギリシャリクガメが目立ってないことに気が付きました。
そこで、ギリシャリクガメの画像をいかに大きく入れるかを考え修正しました。
ギリシャリクガメの画像を比較的大きく入れていますが、これでも、ギリシャリクガメの画像が目立たないということで、より大きく修正することと、甲羅を上から撮った画像も入れるように変更しました。
そして、今回の最終版となるこちらのデザインとたどり着きました。
他の細かい部分でも、例えば、口が開閉可能ということを見ただけで理解してもらうために、口を開けた画像を右上に差し込んだり、丸くなっている時の画像も、前からみた画像が一番インパクトがあったため、この部分も変更しました。
シリーズの立ち上げの商品では、商品を知らない人がほとんどですので、情報を持っていない人が興味を持ってもらえるように、通常よりかなり時間をかけてディスプレイカードをデザインすることが多いです。
満足できるデザインにはできましたが、今回のディスプレイカードがこれでよかったかどうかは実際に売り場に並んだ際にどのようにインパクトが出ているか?で決まります。
なので、「このデザインで間違えてなかったかどうか?」の答えは
皆さんが ガシャポン売り場に行った際に、このディスプレイカードが目立っていたかどうか?また、商品の前で立ち止まってディスプレイカードをチェックしている人がいたかどうかで判断してもらえればと思います。
最後に、今回のかめの撮影風景はこんな感じです。
いつも、私の席の斜め後ろに座っている女性社員に手のモデルをお願いしています。
さて、ガシャポン「かめ」の発売が迫ってきました。
ただいま、大量のかめが船に載って、日本に向かっています。(笑)
来週は、本商品の開発日記としては最後となります。
次回かめ開発日記「かめ出荷開始!」ご期待ください!!