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INTEGRATE MODEL MAZINGER Z  カプセルサイズの壁を突破せよ!

「INTEGRATE MODEL MAZINGER Z」の開発担当の誉田です。

やっと、5月末に商品を発売することが出来ました。

ここまで本当、長かったです。。。

昨年の9月に上野で行われた「画業50年突破記念 永井GO展」で展示させていただき、その後、ホビー雑誌のほか、ホビー系のWEBでも取り上げていただきましたので、仕様に関してはご存じの方もたくさんいらっしゃるかと思います。

 
●どうやって「マジンガーZ」を球体に収めるのか? バンダイ“カプセルレストイ”の終わりなき挑戦!【アキバ総研】

●ガシャポンから20cmの胸像が! 「インテグレートモデル マジンガーZ」誕生秘話【GAME WATCH】

 
簡単に説明しますと、とにかくカプセル玩具では誰も絶対に無理と思う大きさのモデルに挑戦してみたアイテムです。

全長 約20㎝ (3種合体時)


 
 
 
この商品、もともとは3年前に「EXCEED  MODEL ザクヘッド」の流れで「EXCEED MODEL マジンガーZヘッド」として、企画したところから始まりました。

初めのコンセプトでは、頭だけでもマジンガーZであれば、パイルダーオン出来るギミックを入れることが出来るため、マジンガーZやグレートマジンガーなどのヘッドコレクションを立ち上げれば、ザクヘッドとは異なる魅力のある商品ラインになる!と考えていました。

 
ただ、そのあとに大きく方向転換することになりました。

それは、頭だけの試作が出来上がってきた時、自分が思ったほどの驚きを感じることが出来なかったことがきっかけでした。

試作はザクヘッド同様の大きさで、かつ、ホバーパイルダーもセットできるギミックも入れ込むことが出来、きっちりとカプセルに収めるサイズで作ることが出来ていました。

試作自体に問題があったわけではなかったのですが、試作をみて、

「これを発売してマジンガーZのファンを驚かしてやる!」
というところまでの驚きは提供できていると感じることが出来なかったのです。

 
何が足らないのかを考えた結果、

「すでにザクヘッドを発売した今となっては、カプセルから大きな頭部が出来るという同じコンセプトではもう誰も驚かない。」
ということでした。

そこで、企画を一から考え直すことにしました。

 
いろいろと検討し始めるわけですが、マジンガーZはやはりブレストファイヤーまで入れたほうがかっこ良いかも!と気付き、胸部分まで含めた試作を作成してみたときでした。

その胸像の試作を見た時に、マジンガーZのモデルがザクヘッドの時とはまた違ったかっこ良さがしっかりと表現されていたのです。そこで、この方向性で間違いない!と頭ではなく、胸像で進めるということを決めました。

そして、その時のモデルは15㎝を超えるサイズだったのですが、

「このモデルを、このままのサイズでカプセルで出すことが出来ればば手に取った人は絶対に驚くはず!」
と確信しました。

絶対にカプセルに入らないということはわかっていつつも、こんな今までにないサイズのモデルキットをカプセルで本当に発売出来たらと考えると「わくわく感」みたいなものが沸々と自分の中に湧き始めてきました。

 
とはいえ、その時作った試作のサイズでは、どう考えてもカプセルのサイズに入れることできないものでした。

そこで最初に考えたのは、

「それだったら、これを3つのカプセルにわけ、その代わりにもっとサイズを大きくしてやろう。」
と逆にサイズを大きくする方向で企画をまとめ直すことにし、そこで今回の企画のコンセプトが決まりました。

 
新しい方向性が見つかるとそのあとは、

「3つに分けるのだったら、内部構造と外装にわけ、外装を半分外すとマジンガーZではおなじみの体の半分は内部構造が見えることも出来るようにしよう。」
「内部構造のカプセルだけでも、また、外装のカプセルだけでも単品でもきっちりとディスプレイ出来るようにし、それだけでも驚きのサイズに出来るようにしよう。」
などなど、ドンドンと頭の中に新しいアイデアが出てきました。

 
まあ、その時の企画を決めた時点では、今回のサイズの胸像を3つの球体に収めるのにどれだけ苦労と時間を要するかは想像すら出来ませんでした。(笑)

その後、何度試作を作っても、パーツを76㎜の球体の中に収めることが出来ず、作り直した回数は数え切れません。

 
初めの突破口が見つかるきっかけとなったのは、

『今までのカプキャラやザクヘッドの時と同じように考えては、これまで作ってきた商品のサイズを超えることは絶対に出来ない。そのため、全く異なる方法を見つけなければこれ以上大きなものを作ることは出来ない。』
ということに気が付いたことからでした。

それで、

「カプセル部分をモデルの内部骨格の一部として使用し、その骨格の周りにパーツを組んで大きくしていく。」
という発想にたどり着きました。

この方法で目指すサイズの試作を作ってみました。

とはいえ、皆さんもご想像の通り、カプセルの内部はさほどスペースはありません。カプセルに貼り付けるパーツを全部入れるどころか半分すら入れることは出来ず、企画は妄想のまま前に進むことは出来ませんでした。

しかし、この後にふと思いついた方法ですべての状況が変わっていくことになりました。

次に思いついたのは、

「すべてのパーツをカプセルの中に入れるのではなく、大きなパーツはカプセルの外に貼り付けることですべてのパーツを76㎜の球体に収めることが出来るのでは?」
と、いうことでした。そして、この方法で試作を作ってみた結果、これまで、すべてのパーツの半分もカプセルに入らなっかたのが、8割くらいまで球体に収めることが出来るようになり、全く妄想でしかなかった企画が急に現実味を帯びてくるようになりました。

 
この後も試作を何度も作り直しながら、

「どのパーツをカプセルの外側のどこに設置すればいいのか?」
「すべてのパーツをどのように3つのカプセルに分けていけばいいのか?」
たくさんの課題が生まれてきましたが、ここからは一歩づつ前に向かって進み始めました。カプセルに入らないパーツの数も徐々に減っていきました。

とにかく、試作を作って確認する以外に方法はありません。とにかく考えに考えて試作を作る。それで、すべてのパーツが入りきらなければ、もう一度新しい詰め方とパーツの分割の方法を考え直しました。

最後は「ほんのあと1,2パーツだけが入らない!」というところまで来たのですが、その1パーツをいれるというだけで半年近く時間を要しました。

 
本当に、あまりにも長く時間がかかってしまったので、球体にパーツがすべて収まった時は「やっと入った!!完成した!!」という、うれしいという感覚はなく、「やっと終わった。。。」という気持ちしか出てきませんでした。(笑)
社内でもこのサイズのものがカプセルの球体に収まるか??疑問視されており商品化までたどり着けないかもと半ば諦められていた時期もあったので、発売月を社内で報告しても、誰も信じてもらえませんでした。(笑)

 
最後に、今回の商品は、マジンガーZが好きな人はもとより、ザクヘッドを購入して頂いた方にも、ぜひとも手に取ってもらいたいと思っています。

ザクヘッドを初めて手に取った時に感じていただいた衝撃をこの商品でも感じてもらえると思います。

 
今回の商品は、バンダイのカプセルトイの歴史の中で、カプセルトイのサイズの壁を突破した1歩目のアイテムになったとということには間違いありません。

その最初のアイテムを、たくさんの人に体験してもらいたいと思います。

そして、商品を手に取ってくださった皆さんに、その大きさに驚いていただけたら、それこそ本当に開発者冥利に尽きます。
 
 
 
 
 
 
投稿日:2020.6.1 コメントをする

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