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すずめばち開発日記02

すずめばち開発担当の誉田です。

 
昨年2019年の玩具見本市が終わった後から、ガシャポンすずめばちの商品の仕様を詰め始めました。

 
ただ単に精巧にスズメバチの大きなフィギュアを作った場合、虫やフィギュアが好きな方には購入して頂けるということは期待できますが、ほとんどの方はフィギュアが欲しくなるほど虫に興味があるわけではありません。
虫に興味を持っていない人にも、この商品を手に取って頂くためには、スズメバチがもつ特徴的な魅力を感じ取れ、「スズメバチの体ってそんな動きするんだ?!へーー!」みたい気持ちにさせることが重要となります。

なので、そこを目標として仕様をまとめることにしました。

 
スズメバチに関することを勉強をして、次の6つのポイントを再現、確認が出来るようにすれば、たくさんの人が神秘的な昆虫の世界に興味を持ち始めるのでは?と考えました。

1、針の出方と刺す時のスズメバチの姿勢の再現
2、時速40㎞で飛べる翅の仕組みと飛行状態の再現
3、虫を噛みちぎり丸団子にする強力な大顎の開閉と、その下にある樹液を舐めるための短い舌の再現
4、においをかぎ分けるだけではなく、巣を作るために重要となるスズメバチの触角の役割と再現
5、ガラス面にも止まることが出来るかぎ爪の形状の再現
6、オオスズメバチと他のスズメバチの顔の違いと見分け方
では、ここから実際の開発の話となります。

 
<針の出方と刺す時のスズメバチの姿勢の再現>
スズメバチに限らず、蜂の最も特徴的な生態は「お尻から針が出ること」です。

それが最大の特徴ですので、どのように針が出てくるのか?その時の体制は?などを調べ、本物同様に再現できるよう仕様を詰めていきます。

 
お尻の先端からは上のモデルの画像を見ていただくとわかるように、上下に割れて中から針が出てきます。

また、針の形状もまっすぐではなく、少し湾曲しています。

スズメバチの怖いところは、何度でも針を刺すことが出来ることですが、それは蜜蜂のように一度刺すと抜けなくなるように返しが付いていないからなんです。

(ちなみに、蜜蜂に刺されると、それを振り落としても、針は返しがあるため抜けず、針と毒を出す内臓部分は皮ふに残ったままで毒は注入され続けられますので、それはそれで充分怖いのですが、、)

 
また、刺す時の姿勢ですが、お尻にある針で目の前の敵を攻撃するため、胸部と腹部の繋ぎ目は点でつながっており、そのおかげで体を折り曲げて針を進行方向に向けることが出来る体つきになっています。

ここが蜂の体つきの特徴の重要なポイントです。

(アリも同じように胸部と腹部は点でつながっていると思った方!正解です。実はアリも蜂から進化したので、アリは分類上、ハチ目なんです。)

 
また、腹部もよく動き、このウネウネとする動きは生物的な感じがするため、腹部のパーツはすべて動かす仕様にしました。

そこで、最初に作成した図面はこんな感じです。

初めに考えた針と腹部の構造


 
これで一旦、モデルにして確認してみます。

針は腹部を曲げると出てくる仕組みにしていましたが、そのギミックが逆にリアリティ感を下げてしまったため、針はシンプルに下に向けて取り出せるように変更し、上下に開くお尻の先端部分のパーツで針を挟むことで針を固定できるようにしました。

腹部はなかなか思っていたようなうねうね動くようにはできず、最後まで調整に苦労しました。

 
最終的には、飛行時は腹部はまっすぐ、針は腹部の中にしまい、攻撃姿勢の際は、体をまげて、針が前を向くことが出来るように可動の範囲を調整しました。

 

腹部の修正後の構造


 
スズメバチの特徴は針以外にもたくさんありますので、それらを再現出来るようにこの後も仕様を詰めていきます。

ちなみに、今回販売するスズメバチは、すべてメスになります。

ご存じの方も多いかと思いますが、針を刺すのはメスだけで、オスは針を持っていません。
これは、針というのは産卵管が変化したものなので、もともと産卵管がないオスには針がないからなのです。

 
 
さらに開発日記は続きます。

 
 
投稿日:2020.6.11 コメントをする

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