すずめばち開発担当の誉田です。
前回の開発日記では、スズメバチの針の出方に関してでしたが、今回はスズメバチの翅(はね)の特徴と、その部分をどのように製品に落とし込んだか?を話していきます。
<時速40㎞で飛べる翅の仕組みと飛行状態の再現>
スズメバチの翅(はね)は前後2枚で左右合わせて計4枚ありますが、飛ぶ際には、前後の2枚がピタッとくっつき、まるで1枚のようになり飛行します。
この前後の翅はフックのようなものでしっかりで合わさりますので、そう簡単に離れたりはしません。
この翅の仕組みにより、他の虫を凌ぐ時速40㎞で飛ぶことが可能です。
(ちなみに蜜蜂は時速24㎞、ハエは時速18㎞だそうですので、いかにスズメバチが速いかわかりますね。)
最初のモデルでは前後の翅が組め合わさるように作りましたが、翅が離れた際に見た目が非常に悪くなったため、最終的に前後の合わせ目を少しくぼませ、合わせた時に隙間なく1枚のように見えるようにしました。
また、翅の表面には数本の線がありますが、ほとんどの昆虫にはこれがあり、翅脈(しみゃく)といいます。
昔の化石などの昆虫を調べるときもこの翅脈を調べてどの虫の祖先かを調べることもあるそうで、生物学的には非常に大きな役割を持ちます。
もちろん、スズメバチも特有の翅脈がありますので、フィギュアの翅も忠実に再現致しました。手に取る機会がありましたらどうな翅脈をしているか確認してみてください。
あと、翅部分は商品の中で非常に大きな面積を占めるため、ここは色味に凝りたいところではあります。
そこで、彩色なしでも本物っぽく見せるために、素材の厚みを変化させることにし、翅の根元部分は厚く、そこから先端に行くにつれ薄くすることでグラデーション効果が出るようにしてみました。
ショット品が上がってきた際に、想像以上に効果がでていたので、テンション上がってしまい、ニタニタしながらショット品を確認していました。(笑)
また、飛行形態にかんしてですが、蜜蜂やアシナガバチは後ろ脚をダランと下げて飛行しますが、スズメバチは垂らさずに後ろに向けています。
このことを知っていると、スズメバチかアシナガバチのどっちが飛んでいるのかを判断できますね。
今回のガシャポンすずめばちは、カプセルが変形してスタンドベースとなりますので、こちらを使用し、飛行状態でもディスプレイすることも可能となっています。
飾る際は、飛行状態のときは、翅は前後閉じて、後ろ脚は垂らさない。この2点の部分を正確にポーズをつけてください。
すずめばち開発日記04に続く。