だんごむしの担当の誉田です。
新商品「だんごむし07 だんごむしとアルマジロトカゲ」が今月発売となります。
すでに販売が開始したようエリアが一部あるようですが、全国的には今週から順次店頭に並び始めるかと思います。
前回の「トラフカラッパ」に続き、今回、新しく丸くなる生きものは「アルマジロトカゲ」です。
今回取り上げた「アルマジロトカゲ」ですが、数年前までは一般の人にはあまり知られていなかったのですが、今やメジャーな生き物といってもいいくらい知名度が上がりました。
「変な生き物」としての代表選手のような存在で子供たちの間で人気がでたことと、テレビ番組などでも取り上げられたため、一般の人にも広く知られるようになりました。
しかも、爬虫類好きの人の中では、カッコいい爬虫類のなかで昔から5本の指に入るくらい絶大なる人気があります。
なんといっても、このドラゴンを彷彿とさせるかっこいい外観とは裏腹に、敵に出会うと尻尾を咥えて丸くなるユニークさのギャップがあるところが人気の要因なんだと思います。
当然、飼ってみたい方はすごく多いらしいですが、ちょっと好きぐらいでは購入することが出来ないくらい高く、ほとんどの方には高値の花の存在のようです。
そこで、
その気持ちを少しでもかなえられるように、「丸くなることが出来るアルマジロトカゲの原寸大可動フィギュア」を作ってみようということから企画がスタートしました。
ちなみに、アルマジロトカゲの丸くなる可動フィギュアは調べてみても世の中に存在しておらず、どうやって丸くするのか? 構造を一から考えるところからスタートしました。
【機構試作作成】
<頭から尻尾までの体幹部分>
まずは
「どれくらいパーツを分割すれば丸くなって尻尾を咥えることが出来るか?」
「原寸大で作成した場合、それがカプセルの中に納まるのか?」
の2点を確認する必要があります。そこで、基本的な構造とサイズを決めていくため、機構試作といわれるモデルを作成して決めていく作業を進めます。
初めの設計では、頭から尻尾の先端までを、14分割くらいに分割すれば丸くなると考えましたが、モデルを作成してみると尻尾の先端が口まで届かず、丸くするためにはパーツごとにもっと、隙間を開けなければいけませんでした。
ただ、まるくなるように隙間を開けた場合、通常時に戻した際にパーツごとの隙間が目立ってしまい、アルマジロトカゲのカッコいいシルエットが崩れてしまいました。
そのため、アルマジロトカゲのシルエットがどの状態でも崩れないことを優先させ18分割で進めることにいたしました。
最終的に18分割に増やしたことで、シルエットが崩れることなく、どうにか尻尾を咥えることが出来るようになりました。
これで頭から尻尾までの体幹部分の機構が決定しました。
<脚部分の分割>
次に脚部分がどのような動きにすれば自然にポージングできるかの検討に入ります。
ちなみに、生き物のフィギュアで脚の可動方法というのは非常に重要となります。
というのも、どんな生きもののまず、静止時にはすべての脚を地面などどこかにしっかりとつけて体を安定させます。
ポーズをとる際に脚が一本でも地にぴったりと付かずに浮いたりしてしまうとフィギュアを飾ったり、写真を撮ってもリアリティが損なわれるからです。
さて、脚のジョイント方法は普通に可動のことだけを考えると、
胴体と脚の付け根 =>腕の付け根がボールジョイントになっており、胴体の穴に刺して動かすタイプ(トラフカラッパの脚で採用)
肘部分にあたる箇所 =>実際の肘の様な動きが出来る構造(カメの脚で採用)
にするべきかと考えました。
ただし、この場合大きな問題が生じました。
どちらの構造でも動かす部分の周りの棘の鱗をカットしないといけなくなり、脚部分だけ、なんか迫力が欠ける形状になりました。
今回のアルマジロトカゲの設計で重要視したのは、「どんな状態で飾っても、本物のように見えること」でした。
そのため、どちらの方法も採用せず、形状に影響が出ない下記のようなダブルボールジョイント方式を採用いたしました。
この場合、動きに制限が出ると懸念していましたが、実際モデルを作ってみると、どんな箇所でも足の裏部分をしっかりとつけれるようになり、より自然な感じでアルマジロトカゲのポーズを決めれるようになりました。もともと、爬虫類は手をまっすぐ伸ばしたりした状態で静止したりはしないため、今回の可動範囲でも違和感が出ず、十分だったようです。
<口の可動>
首のすぐ近くまで分割されスペースが全く取れないため、当初は口を可動させる方法はヒンジタイプ以外に考えられませんでした。
しかし、ヒンジタイプの可動にした場合、尻尾をしっかりと咥えるというくらいの強度を出すことが出来ないという問題がありました。
とはいえ、上の画像を見てもわかるように強度を持たせるだけのボールジョイントを仕込むスペースはありません。
しばらく頭部分だけ試作品を常に持ち歩くようにし、時間があるときは手に取っていい方法がないか考え続けていました。
それで、スペースが取れる口の両端にボールジョイントを並列に並べる方法を考えつきました。この構造によりしっかりと尻尾を咥えれるだけの強度のある顎関節をすることが可能となりました。
さて、これでやっと、可動フィギュアの核となる機構試作が完成しました。
パーツ点数が今までになく多いため、構造を作り直して、モデルとして出力するたびに約3週間はかかったのと、構造のやり直しは大体4回ほど行ったため、機構試作を完成させるだけで半年以上かかってしまいました。
ただ、今回のアルマジロトカゲの構造は手に取って実際に動かしてもらえれば、触ってもらった人全員に驚いてもらえるくらいのクオリティのものに出来たのではないかと思います。
※「いきもの大図鑑」のホームページもあわせてご確認ください!
https://gashapon.jp/dangomushi/special/dangomushi07/
ダンゴムシ開発日記 アルマジロトカゲ編(後編) に続く。