かめ開発担当の誉田です。
とうとう12月に入り、かめの発売が近づいてきました。
今回は、11月中旬(つい最近ですが・・・)までかかっていた金型調整の話です。
新しい商品を設計する時は、原型の時点で何度も何度も確認し、これで問題ないと思えてから金型の設計に入りますが、それでも金型が出来上がると、いろいろと問題が発覚します。
なので、自分にとって金型のテストショット品の確認はテストの成績が返ってくるような感じなのです。
テストショット品が届いても、なかなか荷物を開けたくない気持ちにかられ、ついつい後回しにしてしまいます。
今回も、細かい部分ですがいろんな箇所に遊びづらかったりする箇所が出てきました。
ただ、作り直ししなければいけないくらいの問題はなかったので、ホッとしました。
原型を作り始めて、だいたい7割くらいが終わった段階で、一度パーツごとの素材を考えます。
金型にかかる費用と生産効率が最も高くなるように各パーツをどのように金型に割り振るかを考え、最終的にその素材に合わせて形状などを決めて原型を完成させます。
なので、原型を金型工場に渡す時には、パーツごとの素材と、どのように金型に割り振るかも一緒に連絡します。
それをもとに、問題ないかどうかを中国の金型工場が確認して、数回やり取りの後に金型のレイアウトが決まるという流れとなります。
金型をどのように作るかは、商品のコストが左右される最も重要な部分です。
1円以下の単位でコストを詰めていくカプセルトイではこの段階で、自分で出した試算と工場が出した試算の差異がないことを確認しつつ進めていきます。
ここに差異があると次に進めないので、非常に重要なところです。
今回のかめの仕様は想像以上に差異が発生しそうで、内心ドキドキしていましたが、工場からほぼこちらの試算と差異がないという連絡が来たので、相当安心したのを覚えています。
今回は、下記のように素材を決めました。
さて、この素材に分けて金型が出来上がってきたら、それを組んで動かしてみます。
この時に、想像してた感触と違う部分が出てきます。
原型の時は勘合部分がルーズな状態で確認しているので、成形品となり勘合がしっかりしてくると、動く範囲が原型の時より狭かったり、新たに問題点が見つかることもよくあります。
細かな調整はいろんな箇所に見つかるので、常に時間を意識して、金型工場と修正方法を検討して解決していきます。
今回、大きなトラブルはなかったので、修正した2点をピックアップしてお話しします。
テストショット品で遊んでみると、前脚がもっと大股に広げれると思っていたのですが、実際は下の画像くらいまでしか開きませんでした。
なんだか、かめの躍動感が出ておらず物足りません。
原型の時は気にならなかったのですが、しっかりと勘合の調整が進んで遊べるようになると、その時に初めて物足りなさに気が付くということはよくあることです。
まず、原因を調べます。今回は首と腕の間にある壁部分に腕があたっていました。
この壁のうち、腕が当たっている部分をとってしまっても大きな問題も出ないことを確認し、カットしました。
左が修正前、右が修正後です。
壁がなくなり、腕が外側にも大きく動くようになりました。
で、前脚をここまで広げれるようになりました。
やっぱりこれくらい脚が開かないとかめらしさは出ないですよね。
また、原型時に気が付かなかった問題点も見つかりました。
後ろ脚をしまう時に、押し込もうとすると中まで入り込んでしまい、腹甲部を外さないと脚が出てこなくなる問題が見つかりました。
中を見てみると、脚を押し込むとどこまでも入っていってしまう構造となっています。
脚が入っていかないように甲羅の内側に出っ張りを立てることにしました。
これで押しても入り込まなくなり、問題解決。
生産を開始しなければ間に合わなくなるデッドラインまでに、気が付いたすべての修正と調整を終わらせなければいけません。
今回はどうにか間に合わせることが出来、生産をスタートすることが出来ました。
生産が始まった後も、勘合が緩くなっていないかなど確認していきますが、これでかめの開発はすべて完了しました。
11月下旬に製品検査も合格し、あとは出荷まで毎日かめを生産をするのみです!!
ただいま、毎日数千匹のかめが生まれています!(笑)
次回は、かめ開発の最後の仕事「ディスプレイカード作成」の話です。
ディスプレイカードとはカプセル自販機の前面に差し込まれている商品の説明をしている紙のことです。
カプセルトイは、自販機の前を通った人の足をいかに止めるかが勝負です。
そのためには、このディスプレイカードが非常に重要な役割を果たします。
次回、かめ開発日記-10-<DP作成>に続きます。