かめ開発担当の誉田です。
かめ開発日記03では甲羅の形状が決まるところまで進みました。
丸くなっているところを見ると、本物っぽく見えないですか?
ただ、かめの歩いている姿を見ていた時に、ある箇所が気になり始めました。
かめの後ろ脚です。
結構長く伸びるんです。
歩くかめの後ろ姿(後ろ脚が結構長い)
モデルでは、甲羅の内部にスペースがないため、後ろ脚は短めに作っていて、横に伸びるような構造をしています。
当初はそれでも気にならなかったのですが、歩いているかめの後ろ姿を見続けていると、後ろ脚の長さが気になり始めました。
とはいえ、修正は簡単ではありません。
脚を長くするためには、膝部分も作って折り曲げていく仕様にしなければなりません。
しかし、脚をしまうスペースが内部にないため、構造から作り直さないといけません。
後ろ脚をしまうスペースがなく、現状では左右の脚が当たっていてこれ以上伸ばせない。
しかも、すでに12月の発売を目指すには原型を工場に渡さないといけない時期になっており、やり直すべきかどうか悩みました。
とはいえ、一度気になりだすと、その部分が気になって仕方なくなってしまい、、結局、内部構造をやり直すことにしました。
まずは、後ろ脚をどうやれば甲羅の中にしまえるかの方法を検討します。
図鑑でかめの骨格構造を眺めていると、背骨から骨盤につながり、そこから足につながっていました。
実際のリクガメの後ろ脚は体育すわりのごとく折りたたまれて中に入っていきます。
それと同じような構造をプラスティック樹脂で作ろうとすると平べったい脚になってしまい、伸ばした時に外観が実物のかめとは全く異なってしまいます。
「後ろ脚を出した際、後ろ姿もどれだけ本物のかめに近づけられるか?」
を第一優先にして、平べったくせずに甲羅の中にしまえる方法を考えます。
骨盤自体は、実際には動きはしないのですが、この骨盤部分を前にはね上げるようにすれば、脚をさらに奥までしまうことができるスペースを確保できるはず。
ということに気が付きました。
そのため、まず、この部分を手で加工してうまくいくかを調べます。
骨盤部分を上にはね上げることが出来る内部構造へ手で加工中
時間がない時、ギミックの修正は3Dデータで直すより手加工の方が、問題点とその解決策も見つけやすいメリットがあります。
問題ないことの検証が出来たら、3Dデータを直します。
後ろ脚に膝部分を入れて倍の長さに伸ばし、骨盤部分を上にはね上げる構造に。
後ろ脚が伸びたので、歩いている時のかめの後ろ姿も本物っぽくなりました。
修正前
修正後
後ろ脚に膝関節を入れて後ろに長く伸ばしたポーズ
どうでしょうか?
以前の後ろ脚と比べてすごくリアルな感じになったと思いませんか?
金型作成に入らないと発売が年内に間に合わない時期にきています。
ただ実は、この時点でも気になる部分があと一箇所残っていました。
それは、かめの顔です。
すでにこの時点で何度も修正を入れていたのですが、どうしても、納得できる顔にはなっていませんでした。
「かめ独特の表情」が再現できていなかったのです。
かめって、見る角度によって、「のんびりした表情」に見えたり、「怒っている表情」に見えたりするのです。
表情が変わるわけではないのに、見る角度によって、そう感じるのです。
その部分を再現したかめの顔をどうやったら作れるのかを考えます。
とはいえ、スケジュールをこれ以上遅らせるわけにはいきませんでした。
そのため、原型は工場に渡し金型作成の作業に移ります。
ただ、顔部分の素材はPVCを予定しています。
金型作成にかかる時間は、PVCはABSより短いため、他の部分を先に進めて、2週間以内に顔の原型を用意できればどうにかABSの甲羅の金型の完成までに顔部分の金型も間に合わせることが出来ます。
残された時間でさらに修正を入れつつも、なにかもっといい顔に出来ないか?修正します。
次回、かめ開発日記05<かめ理想の顔へ>に(つづく)
亀の画像はリクガメと暮らされているあこさん(https://twitter.com/Akoproduction)のブログから許可を得て使わせていただきました。